アメリカの軍用車両としてその歴史をスタートさせたキングオブ4WDブランド「ジープ」
「どこへでも行ける。何でもできる。」をスピリットとして、1941年に米軍の軍用車として初代ジープウィリスを誕生させたジープ。現代まで様々なモデルをリリースし続け、ブランドを代表するモデル「ラングラー」をはじめ、コンパクトSUVやプレミアムSUVまで幅広いラインナップを誇り、世界中のファンに愛されています。
軍用車として開発された「初代ジープウィリス」はSUVの元祖
軍用車として生まれたジープウィリスは、軽量なボディとラダーフレーム型のシャシーにパートタイム4WD機構を備え、圧倒的な頑丈さと悪路走破性で、米軍の兵士たちをサポートしました。終戦後にはわずかな改良を受けて、山野を駆けるレジャービークルとして、民間にも販売されるようになりました。これが後にブランドを代表するモデル「ジープ ラングラー」の原型となって、現在に至ります。
ブランドの歴史とイメージを体現するロングセラーモデル「ラングラー」
初代ウィリスのDNAを受け継ぐラングラーは、時代とともに改良を重ねてなお、ひと目見ただけで「ジープ」と分かるスタイルが魅力。直線的で無骨なボディラインに縦長のスリットが入った伝統的なフロントグリル。それを挟むように配置された丸目のヘッドライト、直立に近いフロントウインドウ、台形のフェンダーは、軍用車の面影を色濃く残しています。また悪路走破性能にも定評があり、世界中のオフロードファンから支持されています。
ジープの特徴
軍用車として第二次世界大戦などで活躍した、初代ジープウィリスは、基本的にドアや屋根を持たなかったため、民間の乗用車としては不向きでした。そこで終戦後にジープの頑丈なシャシーを流用した、スチールボディのステーションワゴンが作られました。これが全てのSUVの原点といえるモデルとなったのです。その後ステーションワゴンのホイールベースを伸ばして大型化した、ワゴニアを発表します。これが現在ラングラーと双璧をなすロングセラーモデル、「チェロキー」「グランドチェロキー」へと派生・進化していくことになります。
ジープの代表的な車種
ラングラー
初代ウィリスから受け継いだDNAを現代に伝えるラングラーは、時代に合わせた進化と熟成を重ねてきた本格的なオフロード4WDです。「どこへでも行ける。何でもできる。」というジープのスピリットをそのまま体現する唯一無二の存在感は、世界中のファンから熱狂的に愛されています。
2018年にフルモデルチェンジしてJL型となり、伝統的なスタイリングはそのままに、ボディの軽量化や、ダウンサイジングターボエンジンの設定など、その中身は現代的に進化しています。ショートボディで取り回しの良い2ドアモデルと、定番の4ドアモデルが存在し、それぞれ「スポーツ」「スポーツS」「サハラ」「ルビコン」のグレードがあります。各グレードには用途に応じた装備が設定されており、懐の深いラインナップとなっています。
ラングラーをベースしたファン待望のピックアップ「グラディエーター」も登場
ラングラーの4ドアモデル「アンリミテッド」のホイールベースを約48cm延長して、ピックアップトラックに仕立てた「グラディエーター」が2018年12月に発表されました。グラディエーターは、ラングラーの4ドアモデルのボディ後部をベッド(荷台)にしたダブルキャブモデル。アメリカン4WDを代表するラングラーと、アメリカらしいピックアップという、ワクワクが止まらない組み合わせで、世界中で大きな話題を呼んでいます。アメリカでの発売は2019年を予定。
グランドチェロキー
1980年代にチェロキーのラグジュアリー版として登場したグランドチェロキーは、ワゴニアを祖とするジープブランドの最上位モデル。全長約4.8mの堂々としたフルサイズボディに縦7本のスリットが入ったグリルが、誇らしげにジープのアイデンティティを主張します。
直線を基調としたエクステリアは派手さを抑えた、シックでエレガントなデザイン。インテリアも欧州車を思わせる上質さと、アメ車らしい実用的な面とが融合したもので、まさに大人のプレミアムSUVと呼ぶに相応しいものに仕立てられています。
洗練されてもアメリカンSUVらしさを強く感じさせるラインナップ。
最もベーシックな3.6LのV6DOHCエンジンと8速ATの組み合わせでも、普段の走行にストレスを感じることは無いでしょう。しかしそれでは物足りないという、アメ車ファンに向けたモデルも存在します。伝統のV8で6.4LのHEMIエンジンを搭載するSRT8グレードや、6.2Lスーパーチャージャー付HEMIエンジンを搭載する「TRACKHAWK」モデルは、まさにアメリカンなスペックを誇ります。特に「TRACKHAWK」モデルは、最高出力707馬力、最大トルク89.2kgm、0-100m加速3.5秒という圧倒的なスペックを誇り、異次元の走りを味わえるでしょう。
極端とも見えるラインナップですが、現代的な感覚を持ちながら、古きよきアメリカ車らしい豪快さを忘れない姿勢が、ジープブランドの最大の魅力といえるのではないでしょうか。
レネゲード
ジープブランド史上、最もコンパクトなSUVとなるJeep Renegade (レネゲード)は、都市部での取り回しの良さが光るコンパクトSUV。フィアットのコンパクトSUV「500X」とプラットフォームを同じくしており、フィアットとクライスラーが初めて共同開発した記念すべき車です。そのせいもあってか、デザインも丸目のヘッドライトと縦長のグリルというジープらしさと、都会的でポップな雰囲気をあわせ持った異色のjeepといえる存在です。もちろん「どこへでも行ける。何でもできる。」というジープのスピリットはしっかり受け継がれ、高い悪路走破性も兼ね揃えています。コンパクトボディの取り回しの良さ、リーズナブルな価格設定、ダウンサイジングターボエンジンの燃費の良さで世界的大ヒットモデルとなりました。
コンパス
レネゲードに先駆け、大きすぎず小さすぎない絶妙なサイズ感で、世界的大ヒットとなったのが、Jeep初のコンパクトSUVであるコンパスです。初代モデルはマイナーチェンジを重ねながら11年も販売され、2017年12月に初のフルモデルチェンジが行われました。2代目となる現行モデルのボディはレネゲードよりひと回り大きく、シャープなデザインはJeepのフラッグシップであるグランドチェロキーを彷彿とさせるものです。2.4LのNAエンジンは175psを発生し、街乗りからオフロードまで、必要にして十分な力強い走りを実現します。フルモデルチェンジで進化したのはデザインだけでなく、機能・快適性・安全性など数え切れないほどの進化を遂げています。また、輸入車としては珍しく、燃料がレギュラーガソリンであるという点も見逃せないポイントです。