プロローグ
Jeepラングラーといえば、唯一無二の個性を持ったアメリカン4WDの代表格。前モデルのJK型で幅広い層への人気に火が着き、最近よく見かけるようになったため、購入を検討されている方も多いのではないでしょうか。ラングラーを購入するにあたって、気になるポイントのひとつとして、燃費は非常に大きなウエイトを占めるでしょう。「燃費を気にして乗る車じゃない」という意見もあると思いますが、燃料代が安く上がれば維持費が抑えられ、その費用をカスタムに回すこともできます。
モデルチェンジしてJL型となったラングラーのエンジンは、ちょっとしたエコドライブのコツを知っていれば、想像以上に燃費を抑えることができるんです!その秘訣を長年アメ車を取り扱ってきた、S-BROSがお伝えしたいと思います。燃費が気になって購入に踏み切れなかった方は、ぜひ参考にしていただければと思います。
目次
- アメ車=燃費が悪いというイメージはもう古い?
- 燃費に注目したラングラーのエンジンスペック
- 2ドアと4ドアで燃費はどのくらい違うのか?
- エンジンの違いによる燃費をチェック
- ラングラーの燃費をさらによくするドライブのコツ!
- まとめ
アメ車=燃費が悪いというイメージはもう古い?
アメ車というと、真っ先に思い浮かぶのが、「大きなボディ&大排気量で燃費が悪い」と思い浮かべる方が多いかもしれません。実際にひと昔のアメ車は燃費が2km/L程度は結構当たり前で、「燃料タンクに穴が空いているんじゃないか?」などと揶揄されたものです。しかし近年の世界的な環境保護志向もあり、今どきのアメ車は燃費性能もかなり良くなってきています。もちろんJL型ラングラーも例外ではありません。
ついに登場した2.0L直4ダウンサイジングターボで低燃費化!
10年ぶりのフルモデルチェンジでJL型となったラングラーには、新たに直4の2.0Lターボエンジンを選択することができるようになりました。流行りのダウンサイジングターボです。中排気量のターボエンジンというと、なんとなくトルクが細いイメージがありますが、ラングラーの2.0Lターボエンジンの最大トルクは3.6Lエンジンより大きいため、動力性能に不満を感じることはないでしょう。
5AT→8ATとなり、エンジン回転数を抑えて低燃費化!
前述のダウンサイジングターボだけでなく、JL型からATが5速から8速になりました。AT多段化のメリットは、細かくギアチェンジできることによってエンジン回転数を抑えられることです。回転数を抑えられるということは、ガソリン消費量を抑えられるということです。これは2.0Lターボにも3.5L V6にも言えることで、燃費向上だけでなく、よりスムーズな走行にも貢献します。
アルミパーツを多用して90kg以上軽くなったボディで低燃費化!
JL型ラングラーは、迫力あるボディサイズはそのままに、ドアやフェンダーをはじめとする随所に高強度のアルミ素材を採用しており、強度を確保しつつも前モデルのJK型に比べて90kg以上の軽量化を果たしています。人間の身体と同じように、体重が軽くなると動きやすくなって、エネルギー消費が抑えられるというとイメージしやすいでしょうか。
全モデルレギュラーガソリン仕様!
輸入車といえば多くの車種がハイオク指定で、最近では国産車でもハイオク仕様が増えてきています。価格差は数パーセントとはいえ、馬鹿になりませんよね。しかしJL型ラングラーのエンジンは全てレギュラーガソリン仕様です。実はアメリカ車はレギュラー仕様の車種が多いんです。ちなみにレギュラー仕様の車にハイオクを入れると、燃費が良くなるという噂がありますが、価格差を埋めるほど伸びることはないようですので、素直にレギュラーガソリンを入れましょう。
燃費に注目したラングラーのエンジンスペック
Jeepラングラーは、軍用車をルーツに持ち、1987年に発売された初代 YJ型から30年以上もの間、世界中のオフロードフリークから愛され続けるロングセラーモデルです。長いモデルライフの中で、その唯一無二のデザインを大きく変えることなく今日に至る、世界中でも数少ない名車といえます。一方で搭載されるエンジンは2.5L直4や4.2L直6など、様々なものが組み合わせられてきており、中には燃費が良くないエンジンもありました。
ここでは最新のJL型に用意された、燃費に最も密接に関わるエンジンに注目してみたいと思います。
3.6L V6 DOHCエンジンの概要
前モデルから採用されているV6エンジンは、アイドリングストップ機能などの改良を施され、8速化したATと相まって前モデルのJK型より、約23%燃費性能が向上しています。
3.6L V6エンジンのスペック
- 形式:
- 3.6L V6 DOHC 24バルブ 自然吸気
- 最高出力:
- 284ps(209kW)/6400rpm
- 最大トルク:
- 35.4kgm (347Nm)/4100rpm
2.0L 直4直噴ターボエンジンの概要
ラングラーに搭載される初のターボエンジンとなる、本エンジンは最高出力こそ3.6Lエンジンを若干下回るものの、最大トルクでは上回り、それを3000rpmという低回転で発生させることから、静粛性と燃費に好影響を与えるでしょう。自動車税を抑えられるのも維持費の面で大きなポイントです。
2.0L 直4直噴ターボのスペック
- 形式:
- 2.0L直列4気筒DOHC 24バルブ
- 最高出力:
- 272ps(200kW)/5250rpm
- 最大トルク:
- 40.8kgm (400Nm)/3000rpm
2ドアと4ドアで燃費はどのくらい違うのか?
ラングラーには大きく分けて2ドアモデルと4ドアモデルが存在し、全長で550mmの差があります。並べて見ると4ドアの方が長い分、ずいぶん車重があるように見えますが、実は見た目ほど差はありません。ベーシックな「スポーツ(2ドア)」と「アンリミテッド スポーツ(4ドア)を比べてみると、120kgしか差がありません。大人2人分ほどしか車重が違わないとは驚きですね。見た目からイメージするよりも、燃費への影響は少なそうです。
2ドアモデルと4ドアモデルの寸法・重量比較
数値相関 | 2ドアモデル (Sport) | 4ドアモデル (Unlimited Sport) |
全長(mm) | 4320 | 4870 |
全幅(mm) | 1895※共通 | |
全高(mm) | 1825 | 1845 |
ホイールベース(mm) | 2460 | 3010 |
車両重量(kg) | 1830 | 1950 |
乗車定員(名) | 4 | 5 |
最小回転半径(m) | 5.3 | 6.2 |
エンジンの違いによる燃費をチェック
それではいよいよ気になる燃費をチェックしていきましょう。エンジンの違う4ドアモデルのカタログ値(JC08モード)では、次のようになっています。
- V6 3.5Lエンジンモデル燃費・・9.0km/L
- 直4 2.0Lエンジンモデル燃費・・11.5km/L
参考までに競合する他社SUVの燃費(JC08モード)を例に挙げると、
- メルセデス・ベンツG550(V8 4.0L)燃費・・7.9km/L
- トヨタ ランドクルーザー プラド(直4 2.7L)燃費・・9.0km/L
- レンジローバー ディスカバリースポーツ(直4 2.0L)燃費・・10.2km/L
以上のようになっています。いかがでしょうか、もはや他社の人気SUVにも引けを取らないレベルの燃費と言っていいのではないでしょうか。
ラングラーの燃費をさらによくするドライブのコツ!
アルミパーツによるボディの軽量化や、8速ATの採用など、様々な改良を受けて、唯一無二の個性はそのままに燃焼効率を向上させたJL型ラングラー。もはや「アメ車=燃費が悪い」という図式に当てはまらないモデルとなりました。そんなラングラーの燃費をさらによくするコツを紹介していきましょう。
アクセルワークは丁寧に!トルクがあればゆっくり踏めばOK
トルクの太いラングラーのような車を運転していると、広くて空いている道路の直線では、ついついアクセルを踏み込んで、湧き上がるトルク感を味わいたくなるもの。特にV6エンジンの「ずぉーっ」というエンジン音、気持ちいいんですよね。しかし急加速を繰り返すとガソリンは予想以上に早く減ります。トルクがある車だからこそ、ゆっくりアクセルを踏んでも十分な加速が得られますので、アクセルはゆっくり丁寧に踏み込むようにしましょう。
減速や速度調整は「アクセルを抜く」ことを意識する
燃料はアクセルを踏めば踏むほど早く減っていきます。当たり前だろうと思われるでしょうが、あらためて確認してみましょう。例えば数十メートル先に見えている信号が赤に変わっても、アクセルを抜かず、停止位置の直前でブレーキを踏んでいないでしょうか。軽くなったとはいえ、2トン近い車重のあるラングラーはアクセルを抜いても、ガクッと速度が落ちることなく、ある程度は慣性で走ってくれます。これを利用しない手はありません。
タイヤの空気圧はマメにチェックして、規定値を維持
タイヤの空気圧が下がリすぎると、燃費は悪化します。タイヤの空気が抜けると、タイヤがぐにゃぐにゃと変形しやすくなり、転がり抵抗が増えることで、車を動かすために燃料がたくさん必要になります。逆に空気圧を高めにすれば、燃費が良くなると思われがちですが、空気圧が異常に高いと、ブレーキの効きが悪くなったり、乗り心地が悪くなるだけでなく、タイヤの摩耗も早くなります。しかも燃費が良くなったとしても微々たるものです。タイヤの寿命が短くなった分、かえって維持費が高くなる可能性も高いでしょう。もし硬めの乗り心地が好みであっても、規定値の+10%以内にしておくことをお勧めします。
燃費向上グッズを使用する際は必ずプロに相談
巷には様々な燃費向上グッズがあります。燃料やオイルに添加するタイプから、燃料パイプに巻きつけるだけで燃費が向上することを謳った、効果の怪しいものまで、実に多くの商品が次々に発売されてきました。ほとんどは効果の怪しい商品だと思われます。なぜなら近年の世界的なエコ志向をうけて、莫大な開発予算を持つ自動車メーカーも、必死で燃費向上技術を磨いているからです。本当に効果的なものであれば、特許や会社ごと買収して自社製品に採用することを考えるでしょう。もちろん中には例外もありますが、メーカーが採用していない商品を試す場合は、必ずプロに相談してからにしましょう。燃費向上の前に愛車が壊れてしまっては、本末転倒ですよね。
まとめ
ひと目でそれとわかるルックス、圧倒的な悪路走破性、カスタムパーツの豊富さなど、数え切れないほどの魅力を持つラングラー。現行のJL型になって燃費もずいぶん向上しました。もちろんコンパクトカーやハイブリッド車の燃費と比べると悪いでしょう。しかし唯一無二の存在である、この大らかなアメリカン4WDには抗いがたい魅力があります。ちょっとした工夫やドライバーの運転の仕方で、燃費を良くすることもできます。ここまでフルモデルチェンジしたJL型ラングラーの燃費をテーマに色々と紹介してきましたが、これを参考に充実したアメリカン4WD生活に踏み出していただければ幸いです。