プロローグ
6.2L V8モデルのカマロで街中の燃費7Km/ℓオーバーは可能!
アメリカンスポーツカー、特にカマロのようなマッスルカーの購入を検討されている方にとって、燃費は最も気になるポイントのひとつのはず。燃料代は、車の維持費にも関わってくることなので、できるだけ節約したいものです。
そこでアメ車の売買や取り扱いに精通した、S-BROSの店長中西が、燃費を良くするための実践テクニックを紹介したいと思います。実はアメリカンマッスルカーは、イメージほど燃費が悪くない!アメ車を購入する際、「燃費がネックになって躊躇している」という方は、このコンテンツをご覧いただき、是非、エコドライブを実践していただければと思います。
目次
- カマロの一般的な燃費イメージや風評とその信ぴょう性
- 燃費という面から見たカマロの各スペック
- シーン別によるカマロの燃費
- ライバル社と比較したカマロの燃費
- カマロの燃費をよくするテクニック こうすれば燃費が良くなる!
- まとめ
カマロの一般的な燃費イメージや風評とその信ぴょう性
アメリカを代表するメーカー「シボレー」から販売されている「カマロ」の燃費は良いのか?悪いのか?アメリカの誇るマッスルカーは、どれほどの燃費なのか気になるのではないでしょうか。購入を検討されている方やご興味をお持ちの方々であれば、実燃費がどれくらいか?は、把握しておきたいものです。
「アメ車 = 燃費が悪い」は本当か?
ある程度年齢を重ねた方や、往年のアメリカンマッスルをご存じの方であれば「アメ車 = 燃費が悪い」というイメージをお持ちだと思います。ある意味において、この認識は正しいといえるでしょう。アメリカ国内でスモールブロックといわれる排気量は5.7L、ビッグブロックといわれるものは6.2~8.2L中には10L(10,000cc)もの大排気量を誇ります。これだけ大きな排気量のエンジンが低燃費のはずがありません。
ただ勘違いしないでいただきたいのですが、アメ車はその大きな排気量の割には思ったほどガソリンを消費しません。むしろ同排気量の車両であれば欧州車の方が、はるかに燃費が悪い。つまり、「“燃費はよくはないが燃費が悪い”とまでは言えない」のが正解に近い回答だと思います。
カマロは今や欧州車や日本車と同じように直4エンジンモデルも存在する
すでにご購入をご検討されている方はご存じかもしれませんが、カマロには古典的な大排気量V8エンジンの他に、直4ターボモデル(年式によってはV6モデルも)ラインナップされています。直4エンジンはともかく、前述のように6.2LのV8 エンジン搭載モデルであってもイメージほどは燃費が悪くありません。それはなぜなのでしょう?
DOHCとOHVの燃費秘密
これは近代的なエンジンのスタンダードであるDOHCエンジンと、アメリカンV8の代名詞であるOHVエンジンの違いであると言えるでしょう。DOHCエンジンは高性能エンジンの代名詞のような存在です。小排気量でも高出力で高効率な分、部品点数が多く重量がかさみ燃費もよくありません。
それに引き合えOHVエンジンは、高回転域は苦しいのですが部品点数が少ない分、同じ排気量であれば小さく軽くすることが可能です。エンジンは車の中でもっとも重い部品ですから、ここを軽くすることは燃費向上に寄与します。燃費面でも、DOHCに比べると良い傾向にあります。カマロのエンジンはこれに加え、より燃費性能に寄与する「直噴システム」を採用。このことも相まって、イメージよりも燃料の消費が抑えられているわけですね。
燃費という面から見たカマロの各スペック
カマロは、1967年~生産され続けているモデル。一概にカマロの燃費についてご紹介する。といっても、すべてのモデルに関する事柄を、このページで紹介できるわけではありません。そこでこのコンテンツでは現行モデルを中心に、各グレードの燃費比較と燃費向上についてのテクニックをお話していきます。
2015年モデル以降はボディが約90Kgも軽量化されている
2015年5月にデトロイトで初公開された第6世代となる新型カマロ。ボディの内外やサスペンションの各部に至るまでアルミ素材を多用したこと等により従来のモデルより90kg以上も軽量化され、ボディの大きさもひと回りコンパクトになっています。
V8V6エンジンに続き新世代直4ターボエンジンも登場
搭載エンジンも従来のV6、V8のラインナップにプラスして、新開発の2.0リッター直列4気筒直噴ターボが追加採用されました。2019年モデルではビッグマイナーチェンジを受けてて、ボディ前面のマスクとリアビューやサイドシェルの意匠が更に大胆なものになっています。その他、新たなグレード3LTの追加やSSグレードに10速ATを採用するなど、駆動系も大きく進歩しています。
2.0L 直4直噴ターボ搭載モデルの概要
LT RSグレードとコンバーチブルには、カマロでは初採用となるターボユニットが搭載されます。直噴仕様の1,998㏄ DOHC直列4気筒にインタークーラー付ターボをジョイントさせたダウンサイジングターボです。そのパフォーマンスを見ていきましょう。
2.0L 直4直噴ターボのスペック
- 最高出力:
- 205kW(279ps)/5,500rpm
- 最大トルク:
- 40Nm(40.8kgm/)3,000-4,500rpm
- 加速性能:
- 0-60mphが5.5秒
- 車重:
- 1560Kg
6.2L V8搭載モデルの概要
アメリカ本国で中核を占めるのが、 カマロSSです。このSSモデルには、6,153cc 直噴V8 OHVユニットが搭載されます。こちらのエンジンは、62.8Kgmもの大トルクを4,400回転で生み出す古典的なマッスルカーの乗り味を楽しむことができるパワーユニット。1.7トンもの大柄なボディですが、パワーやトルクの出力値を考えると最もバランスが取れたモデルだといえるでしょう。
6.2L V8エンジンのスペック
- 最高出力:
- 338kW(461ps)/6,000rpm
- 最大トルク:
- 617Nm(62.8kgm)/4,400rpm
- 加速性能:
- 0-60mphが4秒
- 車重:
- 1710Kg
6.2L V8 スーパーチャージャーモデルの概要
カマロのハイパフォーマンスパッケージ、カマロ ZL1/Z28には、650馬力・88.5Kgという途方もない強心臓が搭載されています。車重はMTモデルで1763 kg、AT だと1789 kgとなりパワーウエイトレシオは、MT/AT各モデルとも約2.7kg/PSとなっています。気になるトルクウェイトレシオは、なんと約20kg/ kgf・m。これは、ポルシェ911ターボSやフェラーリ458イタリアを軽くしのぐ数値です。
6.2L V8 スーパーチャージャーのスペック
- 最高出力:
- 485kW(650hp)/6000rpm
- 最大トルク:
- 868Nm(88.5kgm)/4400rpm
- 加速性能:
- 0-60mphが3.5秒
シーン別によるカマロの燃費
ここで直4ターボの2.0Lモデル・V6の3.6Lモデル・V8の6.2Lモデル、そしてV8で6.2L+スーパーチャージャー搭載モデルの、「市街地」「高速」における各ステージの燃費を記述しておきましょう。
市街地・高速域におけるカマロの各モデル
- 燃費:市街地 8.5km/L 高速12.6km/L 2.0L 直4
- 燃費:市街地 7.6km/L 高速11.4km/L 3.6L V6
- 燃費:市街地 6.7km/L 高速10.5km/L 6.2L V8
- 燃費:市街地 5.9km/L 高速 8.5km/L 6.2L V8&SC
※米国EPA値
ちなみに国産車のクラウンアスリートは、(1998~3456cc)10・15モードで 9.2~12.4km/L。
レクサスLS(3444~4608c)は、10・15モード 8.2~9.1km/L。
輸入車の代表格、BMW3シリーズなら(1498~2997cc)10・15モード 7.9~18.4km/L。
メルセデスベンツEクラスは、(1497~5461cc)10・15モード 6.2~13.2km/L。
となっています。
どうです?マッスルカーといえども、最近の国産車や輸入車とそん色ない燃費であることをご理解いただけたでしょうか。
ライバル社と比較したカマロの燃費
ではカマロの燃費は、同じアメリカ製のマッスルカーと比較してどうなのでしょうか?ライバル的存在にある2車種と燃費の比較をしてみましょう。
ダッジ チャレンジャー
アメリカを代表するマッスルカー、ダッジブランドのチャレンジャーの燃費性能をカマロと比較してどちらが良いか見てみましょう。チャレンジャーの市街地燃費は5km/Lほど、長距離走行時燃費9km/L程度です。つまり街乗り燃費はカマロの方が優秀だが、長距離走行はチャレンジャーに分があるという結果が出ました。チャレンジャーは言わずもがな、数多くの映画に出演している車で、カマロと同じくアメリカ内外でも高い人気を誇ります。
フォード マスタング
フォードがリリースするマスタングは、1969年以来~Trance American Championship(Trans-Am)にてカマロとサーキットでトップを張り合った因縁のライバル。マスタングもまた、アメリカを代表するマッスルカーの雄です。気になるカマロとの燃費性能差を見てみましょう。
市街地燃費7km/L、長距離走行時燃費8,5km/Lと先ほど紹介したチャレンジャー、今回紹介しているカマロの燃費を上回ります。ただマスタングは、カマロやチャレンジャーと異なり、OHVからSOHCにメインのエンジン形式をシフトしています。排気量もベースグレードで4.0L、パフォーマンスモデルであっても4.6Lにサイズダウンしているため、燃費においては有利です。
このライバル3台で比較した結果マスタングがもっとも燃費が良いことがわかりました。ただ、「3台とも燃費性能に大差はない」というデータであったとも思います。
カマロの燃費をよくするテクニック こうすれば燃費が良くなる!
直4ターボモデルを除くと、カマロに搭載されているV8エンジンは、ハイブリッドや低圧ターボのような昨今の日本車や欧州車のトレンドを踏襲したものではありません。その代わりダイレクト・フューエル・インジェクションや可変バルブタイミングなど別の機構を取り入れることで、燃焼効率を上げ低燃費且つ高トルク(出力)を実現しています。
燃費向上のカギはトルク曲線を意識したドライブ
最低排気量が2.0Lターボ、NAながら最大排気量が6.8Lものエンジンを操作するのに、1.5L前後の国産車やまして軽自動車のような感覚の運転では燃費は稼げません。そもそも、このような大出力の車のアクセルワークはシビアなものです。アクセルワークは「優しく丁寧に」が基本。原則、『急』と付く動きはNGです。
発信時におけるアクセルの踏み込みは半分程度でOK
燃費を意識したドライブで重要なのが、パワーよりもトルク。この車を加速させるトルクを意識することが、低燃費のカギです。ちなみに2018年型の1.4Lターボのスイフトスポーツのトルクウェイトレシオが41.4kg/kgm。対するカマロSSは、27,2 kg/kgmと1.5倍もの数値になります。実際の出力特性は、タイヤ径やギア比などが複雑に絡んできますが、発進時のアクセルの踏み込みは約半分程度で良いイメージです。
ドライブ中は「アクセルを抜く」意識を
街中や高速道路は制限速度が設けられており、基本的に60Km~80Kmの最高速度と決められています。1.7トンもの大柄なボディを持つカマロの慣性モーメントは、かなりのもの。ドライブ中は、車の動き続けようとする力を維持するアクセルコントロールを意識しましょう。
深く意識せずに緩慢なドライビングを行うと、大パワー車はあっという間に制限速度を超えてしまいます。一般道では、よほどのことがない限り流れに乗って車を走らせることが重要です。ギクシャクしたアクセルワークを行うと、目に見えて燃費が悪化してしまいます。運転中はアクセルを踏むことよりも、「足を抜く&載せる」意識を心掛けたいですね。
ATのキックダウンを使って一気に加速しアクセルを抜きつつ速度維持
売れ筋のカマロはATトランスミッション。発進時や加速時は、ATのキックダウンを使って素早く任意の速度域に持っていきつつ、抜き&載せのアクセルワークで速度維持。これが低燃費の鉄則テクニックです。このテクニックでは、タコメーターの役割は非常に大きい。しっかり各メータを確認しつつ、ロスのない高効率な運転を目指しましょう。
ガソリンメータの減りに一喜一憂しないこと
アメリカ製のフェールポンプの吸引量は大きいですから、ゲージ上ガソリンが急に減っても焦らないで下さい。あとで、再度ちゃんとタンクに戻してくれます。
その他の低燃費対策
低燃費を維持するのにもっとも重要なポイントは、トルク曲線とギア比を意識すること。次いで「抜き&載せ」のアクセルワークであることは間違いありません。その他、車に余計な荷物は積まない、低燃費タイヤの装着、渋滞を避けるドライブ計画など、定番の対策も勿論有効です。ただこれらの情報は、他のサイトでも詳しく書いているでしょうからそちらを参照してください。
まとめ
大排気量に比較して、比較的コンパクトなボディを搭載するマッスルカー。大排気量で低回転の魅力と大トルクが持ち味のV8エンジン。これらアメリカ車特有の、地面を蹴るような動力性能に高い走安性を味わえることを考えれば、市街地燃費6km/L、長距離走行時燃費8km/Lという数字は悪くないと思います。
アメリカ車の燃費性能は、決して良いわけではありません。しかし近年のエコカー、低燃費車両にはないパワフルな走りは捨てがたい魅力ではあります。今回の記事では、カマロの燃費についてのあれこれをご紹介しました。
世界中のスポーツカーと比較しても、カマロという車は色あせた存在ではありません。同時に、あなたの努力次第でこの車の燃費をさらに伸ばすことは可能です。このコンテンツを参考に、アメリカ車のエコドライブを研究いただき、美しくもノスタルジックな雰囲気あふれるアメリカンcarライフをお楽しみいただければと思います。